「絢人?お願いがあるんだけど…いい?」
学校に向かう車の中、顔の前で手を合わせてそう言った私に絢人は一瞬顔をはてなにした後、
「いいよ、なに?」
と言ってくれた。
「あのー…ね、もうすぐテストがあるでしょ?だから……、」
「勉強を見てもらいたいと?」
おずおずと切り出した私に絢人はからかう様な笑みを向けた。
「なんでわかったの!?」
「そこまで言われたら誰でもわかるよ」
驚く私にクスクス笑う絢人。
私だって普段は成績も悪くないし、勉強だって得意ではないけど苦手でもない。
だから絢人に勉強を教えてもらう事は少ないんだけど……、
今回のテストは見事に私の苦手な範囲が集中してしまった。
だから絢人に勉強を教えてもらえないか、と頼んでる訳だ。