部屋に戻った俺は一人では大きすぎるベッドに横になった。


そしてそのままゆっくり目を閉じると、夢の世界へとすんなり入った。








目が覚めたのはそれから3時間後の夜の9時。


こんな時間まで寝てたという事は夕飯の時に誰かが起こしてくれたけどそれにも気づかずに爆睡してしまったんだ。




「…………取りあえず下行くか」


独り言を呟き、部屋を出た。




部屋を出て夕方と同じ様に何気なく兄貴の部屋の方を見るとまた半開きのドア。


そこに夕方と同じ様に栗原皐月は居なかったけど部屋の中から話し声が聞こえる。


ドアくらいちゃんと閉めとけよ、と思いながらもその駄々漏れの会話に耳を澄ませる。






「遥架さん、少しお話があるんです」


「話ですか?」


「はい」


「何ですか?」



とても婚約者同士の会話には聞こえない他人行儀な喋り方。




部屋の外で栗原皐月の“お話”とやらに耳を澄ませた。