「下に行ってコーヒーでも頂こうかしら」


「乗り込んで婚約者から離れろって言わないんですか?」


「しないわ。今はまだね」


挑発する様に言えば綺麗な笑みを浮かべる栗原皐月。



「遥架さんとは夫婦になるから…そういう所も含めて二人で話すわ」


そんな事言っても嫉妬にまみれた顔は隠せてない。





「ならそうしてください」


プライドなのか婚約者という余裕なのかそう言った栗原皐月に少し安心した。


ああは言ったものの栗原皐月が今兄貴の部屋に乗り込んで何か言えば困るのは依良だ。

傷つくのは依良だ。



後で兄貴と話し合うってんなら俺には関係ない。

兄貴の答えも大体予想出来るし。








「絢人くんも、コーヒーどう?」


「遠慮しときます」



コーヒーを飲みに下に行こうとしたけどこの女が居るなら行きたくない。




俺はついさっき出てきたばかりの部屋に戻った。