――――――――――

―――――





依良が兄貴に婚約者がいると知って一週間が経った。




依良は本当は思ってもないクセに幼馴染みとしてそばに居れるならいいとか言ってる。

ずっと依良のそばに居て、兄貴に恋してる依良を見てきた俺はそれが本心ではない事くらいわかる。

だけど本心を封じ込めて、自分にさえ嘘を言い聞かせて、泣きそうにそう言うんだから俺には何も言えない。






「俺にすればいいのに」




そんな事、言えない。



依良が一番笑うのは兄貴の隣に居る時だから。

依良が一番可愛いのは兄貴の隣に居る時だから。






兄貴は勉強と仕事の合間をぬって依良との時間を作ってる。

前よりも、多く……。



そして今日も依良は家に来て兄貴と過ごしている。