最初にドリブルで遥くんを追い抜こうとした私は思いっきり走り出したけれど、拙いドリブルに遥くんはスッと片手を伸ばしただけでボールを奪い取った。
「あっ…!」
そしてそのまま軽やかにドリブルをするといとも簡単にゴールを決めてしまった。
「先制」
「遥くん上手すぎるよ」
「依良も頑張って」
「…うん!」
遥くんに言われて今度は私が遥くんのボールを取ろうとする。
ドンドン、とドリブルをする遥くんの前に立ちはだかり、ボール目掛けて手を伸ばす。
あ、これ取れる!
そう思ったのも束の間、一瞬で私の前から居なくなった遥くん。
えっ、と思った時には遥くんはレイアップシュートを決めていて、さっきのはフェイントだったんだとやっと気づいた。
「フェイントなんてずるいよ」
「手加減はなしって言ってたじゃん」
「そうだけど……」
そんな事言わなきゃ良かった、と思ってももう遅い。
「ほら、次やろう」
こうなったら次こそはゴールしてやる!
私の中の負けず嫌い魂に火がついた。
遥くんと向かい合う。
きっとこのままドリブルを仕掛けても私はボールを取られて終わり。
ボールを取られたら私は奪い返す事は出来ないと思う。
なら───。
「えいっ……!」
私はそのままボールを両手で持ち、そのままボールをゴール目掛けて放った。



