一生変わることのない、幼馴染みという関係。

だけど幼馴染みなんて、脆い関係でしかない。



遥くんの瞳に私が女の人として映る事は一生、ない。









「……そうだよねっ…!」



だけど幼馴染みとしてでも私は遥くんのそばにいたい。


それしか遥くんのそばにいる方法はないから。






「明日、お家お邪魔するね」


「うん、おいで」



今まで通りに居られなくなるくらいなら…

遥くんのそばに居られなくなるくらいなら…。






「…………っ」


ピュウッと、風が吹いた。


頬を突き刺す様な冷たい風。カラカラと乾いた風は身体を一気に冷やして、遥くんの上着を握った。




「そろそろ中入った方がいいね」


「うん……、上着、ありがとう」


上着を脱いで、遥くんに返した。


「風邪引くから早く入りな」


「うん…」


遥くんの温もりがなくなった様で寂しい。




だけど遥くんがフワッと私の髪の毛を撫でながら


「明日、待ってるから」


そう言って笑うから、それだけでドキドキしてしまう。



寂しかったはずなのに、底に落とされた様な気分だったのに、遥くんが笑っただけでドキドキしてキュンキュンしてしまうんだから私は呆れるくらい単純だ。




「遥くん、また明日ね」


玄関の所まで行き、私が家に入るまで待ってくれてる遥くんに手を振るとまた遥くんは微笑んでくれた。