「は…遥くんっ…?」
いきなり抱き締められた私は軽くパニック状態。
なんで…なんで…?
なんでこんな、抱き締めるの…?
「遥くんっ…」
驚きとドキドキと切なさが混ざりあって、遥くんの身体を押してみるけど遥くんは離してくれなくて。
「………っ遥くん…」
すぐそばにある遥くんの温もりに、直に感じる遥くんの腕の感触に、上着を掛けられた時とは比にならない程心臓がバクバクいってる。
「………ないで…」
バクバクと心臓が暴れて、遥くんの胸に顔を埋めているとすぐ上で聞こえた遥くんの声。
小さすぎるその声は何て言ってるのかよく聞き取れなくて、私は聞き返した。
「遥くん、なに…?」
すると遥くんは私を抱き締める腕に少しだけ力を入れて、苦しそうに言ったんだ。
「おめでとう、なんて言わないで」



