遥くんが掛けてくれた上着を無意識に握った私は、遥くんの目を見つめた。
遥くん、遥くん、遥くん……。
大好き。
だけどすごく苦しいよ…。
じんわりと涙が込み上げてくる。
「昨日、プレゼントありがとう」
そんな私に気づいたのか気づいてないのか分からないけど遥くんはそう言ってくれた。
「ハンカチ、嬉しかったよ」
「っ…!遥くんの好みかは、わかんないけど……」
「俺の好みだったよ、大丈夫」
「あ、なら良かった…」
「まあ依良が選んでくれたものなら何でも好みなんだけどさ」
クスクス笑う遥くんはどこまでが冗談なのかわからない。
でも取りあえずは喜んでくれたみたいだから良かった。
「クッキーもありがとう。美味しかったよ」
「前に遥くん美味しいって言ってくれたから…」
「覚えててくれたんだ?嬉しい」
「覚えてるよっ…嬉しかったんだから」
そう言うと遥くんは少し驚いた後、甘い笑みを浮かべて
「また作ってよ」
と言った。



