「それと、絢人くんにお礼言いなさいね」
頬を両手で挟みながら、そう言ったママ。
「昨日心配だからって依良が寝るまで居てくれたのよ?ちゃんとお礼言いなさいね」
「うん、ちゃんと言う」
「よし、それじゃあ朝食にしましょう」
大きく頷いた私に笑ったママはそう言ってキッチンへと向かっていった。
そんなママを見て私はソファーに座るパパの所へと向かう。
「パパ…」
「どうした?」
何でもないように、いつもの優しい笑みを向けるパパ。
だけど昨日心配かけてしまったんだね。
心配かけてごめんなさいと、心の中で謝る。
きっと謝ってもパパは笑ってくれないと思うから。
「朝ご飯もう出来るって、行こう」
笑顔でパパの手を引く。
私の顔を見たパパは安心した様に笑ってくれた。



