「昨日、何かあったの?」
「……え、なんで?」
ドキッと心臓が跳ねた。
「昨日、無理して笑ってたでしょ?」
「………そんな事ないよ」
「そんな嘘、わかるわよ。何かあったんでしょ?」
昨日必死に取り繕ったりしていたのは全て無意味だったのか…。
「……………」
「言いたくないの?言えない事?」
「……………」
遥くんの婚約の事。
殆ど決定したようなものだけどまだ正式には発表してないから口外しないでって遥くんは言ってた。
いくらママでも、言う事は出来ない。
「…………ごめんなさい」
「………言えない事なら、無理に言えとは言わないわ」
「………ごめんね」
「謝る事じゃないのよ。だけど、無理はしないで」
「無理…?」
「昨日夜ご飯食べてる時にね、目、赤くなってた」
「…………っ!」
「それにあの人も気づいてたから…」
そう言ったママはチラッとパパの方へと目線を向けた。
「心配してたのよ?」
「パパ…」
「だから無理して心配させないで。もし何かあったらいつでも頼りなさい。いいわね?」
「うんっ…、」
ママとパパの優しさに胸が熱くなった。
いつでも私を見てくれてて、心配してくれて、頼りなさいって言ってくれる。
今回の事は言えないけど、その言葉だけでも嬉しい。
力になる。
「ありがとうっ…」
「泣かないの」
涙ぐむ私の頬を両手で挟み、ふわりと笑うママ。
ママとパパの優しさが沁みる。



