私を真っ直ぐに見つめる黒い瞳は遥くんによく似ている。
絢人の方がキリッとした瞳だけど、本当によく似ている。
遥くんと絢人を重ねるのは失礼なのかもしれないけど、遥くんによく似た絢人の瞳から目を反らす事が出来ない。
絢人も額を合わせたまま目を反らさないから必然的にお互い見つめ合っている事になる。
「……………」
「……………」
「……………」
「……ねえ、キスしていいの?」
「!!な、!」
見つめ合っていた私達は絢人のふざけた発言によって思いっきり離れた。
「ってぇ…突き飛ばすなよ」
「だって絢人がふざけた事言うからっ…」
私の手により思いっきり突き飛ばされた絢人は片手をベッドにつき、なんとか倒れる事を阻止したらしい。
「依良がずっと見つめてくんだもん、していいのかと思った」
「い、いい訳ないでしょ!?もう本当に意味わかんない…!」
絢人の思考回路はどうなってるんだ!
まあ絢人の事だからからかったんだろうけど…。
“キス”なんて単語が出てきて取り乱さない訳がない。
こういうところが子どもっぽいんだろうけど……。



