「おめでとうなんて、言わなくていいよ」
「………っ、」
「いいよ、依良。そんな事無理に言わなくて」
「……あや、と…っ」
「いいんだよ、依良」
絢人の声はすごく優しくて、だけどすごく苦しそうで…。
絢人の手が背中から頭へと移動するとそこを優しく、慰める様に撫でてくれた。
何度も、何度も、何度も。
泣き続ける私の隣に寄り添い、包み込む様にずっと…撫で続けてくれた──。
そして一時間近く泣き続けた私はやっと冷静になってきて、絢人にだらしない所を見せてしまったなと反省した。
泣き続ける私の隣にずっと寄り添い、頭を撫で続けてくれたんだ。
精神的にも体力的にも疲れただろう。
「ごめんね……」
「一人で泣かれるよりずっといいよ」
微笑んで、その綺麗な指で私の頬に未だ伝っている雫を拭った絢人はそのまま頬をゆるりと、撫でる。
「依良は馬鹿だよね」
そして突然そんな事を言った。



