「……絢人っ、」 「ん?」 「私ね、私っ…遥くんの事、好きなの…」 「…………うん」 顔は見えないけど絢人の声を聞く限り、やっぱり絢人は私が遥くんの事好きだって気づいてたんだ。 「遥くんが好き…」 「うん」 「でも遥くんには、婚約者がいて……皐月さんがいるっ」 綺麗で大人で、遥くんに相応しい素敵な婚約者がいる。 私なんて足元にも及ばない、皐月さんって人がいる。 「…遥くん、結婚しちゃうのっ…?」 ボロボロと頬を濡らした涙でグチャグチャの顔を絢人に向けた。