「…絢人、知ってたの?」
膝に顔を埋めたまま、声を出す。
「うん、知ってた」
「…っそう」
遥くんの家族である絢人が知らないはずがないよね。
わかりきった事を聞いてしまった。
今頃になって、一時期絢人の様子が変だったのはこの事が関係してるのかななんて気づいた。
絢人だけじゃない、歩人さんも千架さんも…遥くんも。
婚約者がいるなら、どうしていつも以上に近くにいたの?
最近の遥くんは自棄に私に触れて、引き寄せて…、どうして?遥くん。
「……っ、う」
好きになってもらえたなんて思わないけど、少しは子どもから大人に見てもらえ始めたのかなって浮かれてた自分が馬鹿みたい。



