「依良…」
「遥くん…?」
どうして遥くんがそんなに辛そうな顔をするのかわからない。
辛そうな顔をする遥くんの横で、皐月さんは冷たい瞳で私を見ている。
それはそうだよね、婚約者の誕生日を二人で過ごしていたのに、幼馴染みの私なんかに邪魔されたんだもん。
皐月さんは早く遥くんと二人になりたいよね。
私は、邪魔者だ…。
そう思うとまた、涙が込み上げてきて。
「遥くんっ、これ、プレゼント…あの、要らなかったら捨ててもいいから…、」
プレゼントを渡す事すら悪い事の様に思えてきて。
私は絢人の手を引いて逃げ出す様に遥くんの部屋を出た。
「あっ、依良…!」
追いかけようとしてくれた遥くんを止めたのは、
「遥架さんっ」
皐月さんだった。



