「依良!」 「絢人…」 凄い勢いでここまで走って来た絢人は私と遥くんと皐月さんを見て思いっきり眉を寄せた。 「ごめん、この人居るって知らなくて…」 この人と言うのは皐月さんの事なんだろうか。 絢人がこんな事を人、ましてや女性に言うなんて珍しい。 「兄貴、言ったの…?」 「うん」 「そう…」 絢人はそう言うと、泣きそうな私の手を掴み部屋を出て行こうとする。 「行こう、依良」 「待って、」 だけどそれを遥くんが止めた。