インナモラート 【完】




「………依良っ?」



榊原さんか誰かだと思ったのだろう、驚いた顔をする遥くん。


だけど、想像と違ったのはそこじゃない。

むしろ驚いた顔は想像通りだ。






想像と違ったのは……、




「あら、この前の…」



驚く遥くんに寄り添う様にして隣に座る、皐月さんの姿だ。





「遥くん…」


「依良…、」



部屋の扉の所で立ち尽くす私の所まで来てくれた遥くん。



「どうしたの?」


どうしよう、また心がチクチクする。

皐月さんを見ると、心がザワザワする。