インナモラート 【完】




「いいよ、私の事は気にしないで」


醜い感情ばかりの私なんて見てほしくなくて、そう言って笑うのが精一杯だ。




「ごめんね…」


「謝らないで、今日凄く楽しかったから」





実は今日は遥くんの誕生日当日じゃない。

誕生日当日は平日だから、少し早いけれど週末にパーティーを開いた訳だ。



だから誕生日プレゼントは当日に渡そうと考えていた私。



サプライズにしたいからそれはまだ遥くんに言ってないけど、絢人に聞いたら当日遥くんは午後からなら家に居るっていうから……。




だからプレゼントはまだ渡さなくて大丈夫だし…




「遥くん…、今日は招待してくれてありがとう」




だから今日はもう帰ろう。

今日は十分楽しんだし、遥くんが選んでくれたドレスにネックレス、二人で話せただけで十分だ。







「ドレスも、ネックレスも…本当にありがとう。今日はもう帰るね」



「……依良」



「俺が一緒に帰るから」




絢人はそう言って私の腰に手を添えて出口へと促した。






「依良っ………、またね」



「またね、遥くん」





まだまだ遥くんと過ごしたかったけど、わがままは言ったらいけない。




私はパーティー会場を後にした。