バルコニーを後にした私達は階段を下りてロビーまで戻ってきた。
そんなに時間は経ってないけど、遥くんが戻ってきてたらどうしよう…。
悪い事しちゃったな。
「兄貴…」
そう思っていると絢人が呟き、前を見ると前から遥くんと皐月さんがこっちに向かって歩いてきていた。
「依良、」
遥くんも私達に気づいた。
「話終わったなら依良と居てあげてよ」
いつもより少しだけ棘のある声で絢人が遥くんに言うと遥くんは気まずそうに一瞬だけ、目を反らした。
「ごめん、まだ話あるから…」
「お食事も楽しみながらお話をする事にしたの。せっかくの遥架さんの誕生日パーティーなんですから」
遥くんの言葉を遮ってそう言った皐月さんに絢人が眉根を寄せた。
「ごめん依良」
どうして遥くんはそんなに辛そうに顔を歪めるの?
私と一緒に過ごしてくれるんじゃないの?
“待ってて”って後どれくらい?
遥くんと皐月さんを見ているとこんな嫌な感情ばかり涌き出てくる。
だって皐月さん、恋情を含んだ瞳で遥くんを見てるんだもん…。
それに凄く大人で、私なんかとは大違いなんだもん。



