「絢人、依良桜木さんに絡まれてた」
「桜木…ってあのチャラいやつ?」
遥くんが桜木さんの名前を出すと絢人はわかりやすく顔を歪めた。
やっぱり桜木さんチャラいんだ…。
「ちゃんと見ててって言ったじゃん」
「悪い、依良もごめんな、大丈夫だった?」
「大丈夫だよ」
ニコッと笑うと絢人は安心した様に微笑む。
「兄貴はもう挨拶終わったの?」
「うん、大体の人には挨拶したから」
「なら兄貴に依良は任すよ」
「「えっ」」
遥くんとハモってしまった、恥ずかしい。
「絢人もいなよ」
「兄貴の誕生日パーティーなんだから二人でいれば?招待したの兄貴なんだし」
遥くんにそう言った絢人は「また帰るときね」と言いながら後ろ手に手を振り賑わう中へと姿を消した。
絢人、もしかしたら気を使ってくれたのかな…?
私が遥くんを好きな事知ってるのかはわからないけど、絢人なら気づいててもおかしくないし…。
それは考えすぎかな…?
「依良?俺とはいたくない?」
そんな事を考えていたからか、遥くんといたくないと思われてしまった。
「ううんっ、遥くんといたい…!」
誤解されるのが嫌で食い気味にいうと遥くんは笑って
「よかった」
と言った。



