「滝川さんには聞いてないんですけど」
少し怒りをあらわにした桜木さん。
それに負けじと遥くんもキッパリと言葉を放つ。
「見てわかりませんでした?嫌がってたでしょう、それが答えです」
「………わかりましたよ」
「今日は足を運んでいただきありがとうございます、パーティーを楽しんでいったくださいね」
遥くんがそう微笑むと桜木さんは不快そうにしながらも離れて行った。
「依良、大丈夫だった?」
桜木さんが離れたのを見ると遥くんは振り返り、心配そうに私を見る。
「うん、大丈夫だよ。助けてくれてありがとう」
「ああいう時はすぐに断らなくちゃダメだよ」
少し強く言った遥くんに申し訳なさが募る。
それだけ心配させちゃったって事だから。
「ごめんなさい…」
目を伏せると遥くんは困った様に笑う。
「別に怒ってる訳じゃないよ」
「うん…」
「でも今度から気をつけてね」
「うん…、気をつける」
そう言った私に遥くんがまた笑った時、
「依良…って兄貴?」
絢人が飲み物を二つ持って戻ってきた。



