「「えっ…」」
彼女達と私の声が重なった。
「いきなり引っ張らないでよ、ビックリしたじゃん」
「転ばない様にしてるから大丈夫だよ」
腰に手を添えられている為、かなり近い距離の私達。
「あの、その方は…?初めて見るお顔ですけど」
そんな私達を驚いて見ていた女の人達の中から青いドレスの彼女が私をキツク見ながら言った。
………その視線好きじゃない。
昔からそうだったけど、遥くんも絢人もモテるから女の子から嫌悪の目や嫉妬の目を向けられる事はよくある。
今、女の人全員がそういう目で私を見てる。
居づらい…。
「ね、絢人、私一人でも大丈夫だから、」
「お話してきたら?」と言おうとした私を絢人が止める様に更に引き寄せた。
「悪いけど、今回は遠慮させてもらいますね」
そして嫌な印象を与えない程度に柔らかく微笑んだ絢人は
「行こう、依良」
と言って私の手を引き歩き出す。
だけど二歩歩いた所で急に立ち止まると女の人達の方を顔だけ振り返り、
「せっかく綺麗なんだらそんな顔しない方がいいと思うよ?」
といつもの優しい声じゃない、棘のある声でそう言った。
「………………!」
言われた女の人達は顔を真っ赤にさせたり、バツが悪そうにしていた。



