「依良」
遥くんは私の目に溜まった涙を見て辛そうに顔をしかめた。
そしてゆっくりと私を起こしてくれた。
「ごめんね、怖かった?」
抱き締める様に後頭部をポンポンとして、髪を撫でてくれる遥くんにブンブンと首を横に振った。
怖くなんてなかった。
ただドキドキして恥ずかしくて、遥くんの心がわからなくて、何故だか苦しくて…涙が出たんだよ。
だけどそれを伝える事は出来ずに、遥くんの胸に顔を埋めた。
遥くんの良い匂いと、温かい温もりは何よりも私を安心させてくれる。
そんな私を遥くんはずっと優しく抱き締めてくれて、私が落ち着いて顔を離せばいつもの様に優しく笑ってくれた。
いつもと違って変だと思った遥くんも、その頃にはいつもの遥くんに戻っていた。



