‐中学3年‐

4月。クラス替え。

私、木戸藍莉は目の前の大きな模造紙に、自分の名前を探していた。

「あっ」

見つけた。13番 木戸藍莉 の字。

そこから視線を上に移すと
1番 相澤大河 の字。

(また同じクラスだ)

ほうっと息を吐くと視界がガクンと大きくズレた。

「おはよーーー木戸おお!!また同じクラスだなぁああ」

これで3年連続同じクラスの笠原美舞。
小さい身長に短めのボブがサラッと揺れる。


「なんだまたかよ、、」

「なんだとはなんだひどいな」

私の上、12番 笠原美舞の字を見落としていた。

「あれれ、相澤同じクラスだ。よかったねー」


美舞がにまーーーっと意味深な笑みを浮かべる。

「真野くんいるじゃん。初めて同じクラスになった」

「話聞けよ」


そんなことを言いながら教室のドアを開ける。

教室の入口すぐの席に真野結人くんが座り、相澤とガタイのいい男子がたむろっていた。

「ねぇ星也同じクラス?」

「え?あほんとだ。」

大野星也は美舞の幼馴染だが、

(ちょーーっと女癖悪いのよなぁ。。)


何人彼女を捨ててきたんだって聞いてるけど、

見た感じただの頭悪い陽キャw


真野くんは相澤と同じ部活で部長の、ふわふわした可愛い系のイケメンでまぁモテること。。

氷点下の微笑を常に浮かべている相澤と
ふわふわイケメンの真野くんと
女たらしの星也。。。。



なんであいつら一緒にいるんだよ。



そんなこんなでHRが始まった。



始業式も終え、学級委員とかなんやらを決める時間。


「委員長 秦野ちなつさん、副委員長 真野結人さん、副委員長 笠原美舞さんで決まりました。よろしくお願いします。」


(美舞がやんのか!このクラス終わったな)

心の声が聞こえたのか、美舞がドヤ顔で
見てくる。それにちょっとムカついて
冷ややかな目線を送っておいた。


「美舞頑張れ」

「え?まじか。わい結構めんどい役割引き受けてもた。合唱コンの係って。」

「今更かよ」

そんな他愛ない話をしながら
帰路に着いた。



「ただいまぁ」

相澤が写る小学校の時の卒アルを引っ張り出す。

本当に変わらない顔をしてるなぁ。

目を閉じると今日見た相澤の顔が脳裏に
蘇る。



頭の中に甘い余韻を残したまま

湯船に浸かり、少し早かったが布団を被った。





「おはよー」


「おはよおおおお木戸おお!!」

「そのテンション飽きないの?w」


「いや木戸もすんじゃんw」


「来月修学旅行なん覚えてる?」

あぁそういえば、

うちの学校は5月に修学旅行がある。
そのため早めに席替えをしなくてはならんのだ。

「一緒に行くか?」


「できればそうして貰えるとありがてぇっす」

「(´-ι_-`)ふっ」


「あざす」


。o♡o。+。o♡o。+。o♡o。+。o♡o。+。o♡o。+

班が決まったが

美舞以外初同クラでまっっっっっっったく
話せない雰囲気で


「.......」


美舞の頬がひきつっているのが
よくわかる。



「これこそ先が思いやられるわ」

。o♡o。+。o♡o。+。o♡o。+。o♡o。+。o♡o。+


「えええどうしよどこにしよぉぉぉぉ」

「何が?」

「班行動の場所よ」

「ああw.......んーー.......」

うちの学校は京都に2泊3日。

和風好きな私にしてみたら天国でしかない。

「カフェは外さんけど、お昼ご飯とかどしよ」

「あー抹茶いいねぇ」

「あぁ抹茶!!!」

「美舞の頭の中には京都→宇治っていう思考回路はないのか?」

「うるさw」

そんな話をしていると
目の前のパソコンを覗き込むようにして
美舞の所へ相澤がきた。


「なぁ笠原」

「ん?ああ相澤w君何班だっけ」

「3班。このページどっから開いた?」

「あー?これ藍莉がやったからわからん」

「木戸これ.......」

「相澤ーーーーーーできたあああああ」


真野くんがキラキラした笑顔でこっちに走ってくる。

「あぁ.......ごめん笠原w木戸もw」

「真野くん可愛いかよ」

ホントにそれ思うわ。
でも話しかけても壁作られてる気がするんだよねぇ。。。


まぁ本命は相澤だしいいんだけど







「藍莉めっちゃ相澤見てるやんw」

「しょうがない」


片思い歴4年目突入って自分でも
よく冷めなかったと讃えるレベルだわ。

冷めるどころかむしろ、
よりフィルターがかかってかっこよく見える。

そろそろ新しい恋を探して、新鮮な恋をしたいって何度思ったかわかんないくらい、

何回も辛い思いだってしたし


それでも諦められないんだ。



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授業中
席の位置的に相澤がよく見える。

ついつい見ちゃって
目が合って気まずくなる。


「どうすればいいのおおおおおお」


「木戸お前好きな人が同クラってめっちゃ幸運だからね!」


「わかってるけど、、、、、」


私は俯いて目をそらす。


私が悩んでいる理由は他にもある。


「目合うと顔赤くなるからやなんだよ」


「別にいいじゃん。可愛いし」


「それが嫌なんだって〜」


「ふーん...あ、話変わるけど、真野くん君んち塾入るらしいよ」


「え?まじで?」

「そうそう夏期講習からって言ってた気がする。。。」


真野くん人見知りなのかわからんけど
話してると壁作られる気がするんだよねぇ。。。


「真野くんうちの塾入るの?」

「え?あぁ.......そうなんだよね。。俺は行きたくないんだけどでも.......」



頼むから私と会話してえええ

結構辛いよ!?いないものとして扱われてるようなものでしょ!?

真野くんってタイプ違うなぁ.......


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修学旅行。






「おはよー」

「おはよう」



「美舞ーーー?どうした?」


「いや眠いんだよ」


「新幹線の中で寝てくれw」




「はよっす」

「相澤ああ」


今日も眩しいわ相澤&真野コンビ。

部活見た事何回もあるけど、真野くんも相澤もバスケうまいのよなぁ。

私はバスケやった事ないけど、背が高い相澤と私と変わらない身長の真野くんが
飛び抜けてうまいのはよくわかる。

「もう出発かーー」

「美舞おやすみ」


「待って待って木戸寝ないでよおおお」


「寝る」


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「着いたよーー木戸起きろおおお」



「起きてる」



「顔が寝てる」



「うるせーチビ」



美舞の顔がモアイになって
私のすねにキックをお見舞された。



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