必死に堪えて咀嚼する事に意識を集中しようとしても、ちっとも止まらなくて。

「だから嫌だったのに……」

私は食べる事を諦めた。

今の私は、人に期待はしないのだと嘯いていた私とはもう違うのだ。修吾さんの優しさに触れて、その心地良さを知って、意地を張る強さをなくしてしまった。

弱さを見せてくれて嬉しいと言った修吾さんの温もりが恋しくて仕方ない。

涙と一緒に弱い自分の本音が浮かび上がって、それと向き合うのが苦しくて。

意地を張る強さをなくした変わりに涙を流す事を思い出した私は、その夜とことん泣き尽くす事を自分に許可した。