「改めて振り返るとかなりイタイ奴だったんだと思います」

そう、こうして修吾さんの横で自己嫌悪になるのを止められないくらいには。

でも、がっくりと項垂れる私の頭を優しくなでてくれる彼は違うご意見らしい。

「急にたった一人の家族を亡くして普通の精神でいられる人間はいないよ。君はきっと強がることで乗り越えてきたんだ。それは仕方のないことだし、自分自身を責める必要はないよ」

「でしょうか?」

「あぁ。俺だって母を亡くした時はしばらく辛かったよ。君より大人で成人してたし、父親もいたっていうのにね。だから誰かを失った時に辛かった気持ちを忘れる必要はないし、どんな方法であれ乗り越えた自分を誇って褒めてあげるべきだ。神様だってご褒美は計画のうちだよ。成美はもっと自分を甘やかすことを覚えるべきだな」

そう言って頭にあった手が肩に滑り降りてきた時、抱き寄せられる前に私は「あっ」と声をあげた。