「そう?」
その表情のまま問いかけると「ま、特にきっかけなくてもいいのか」と呟いて、修吾さんは私の手を握った。魅入られたままの私は勿論、振りほどくなんて発想にならなくて、されるがままで。ぎゅっと握った手を引かれるのに合わせてまたゆっくりと散歩が再開される。
しばらく散歩を続けた後、修吾さんがベンチに座ったから私も一緒に座る。勿論手は繋いだまま。
「お母さんが亡くなった時、成美はまだ未成年だっただろう?それからはどうしてたんだ?」
そう修吾さんが切り出したのは少し時間が経ってから。しかも「聞いてもいいか?」と確認してくれてからだった。
「大丈夫です、もう十年も前のことですから」
「でも成美にとって辛い記憶には違いないから……」
気遣いに心が暖かくなる。こんな風に心の近い場所から心配してもらったのは何時ぶりだろうか?
そう考えてはっと気付く。こんなにも私はこの人に心を開いているのだ。
その表情のまま問いかけると「ま、特にきっかけなくてもいいのか」と呟いて、修吾さんは私の手を握った。魅入られたままの私は勿論、振りほどくなんて発想にならなくて、されるがままで。ぎゅっと握った手を引かれるのに合わせてまたゆっくりと散歩が再開される。
しばらく散歩を続けた後、修吾さんがベンチに座ったから私も一緒に座る。勿論手は繋いだまま。
「お母さんが亡くなった時、成美はまだ未成年だっただろう?それからはどうしてたんだ?」
そう修吾さんが切り出したのは少し時間が経ってから。しかも「聞いてもいいか?」と確認してくれてからだった。
「大丈夫です、もう十年も前のことですから」
「でも成美にとって辛い記憶には違いないから……」
気遣いに心が暖かくなる。こんな風に心の近い場所から心配してもらったのは何時ぶりだろうか?
そう考えてはっと気付く。こんなにも私はこの人に心を開いているのだ。

