突然の宣告から一時間後、私はいつもの派遣メンバーとランチに来ている。

「それって酷すぎない?労基に訴えちゃいなよ!」

「まぁ酷いのはひどいんだけどね。法律違反じゃないから難しいんじゃない?」

四人がけのテーブルで、自分の事のように怒ってくれたり冷静に指摘してくる同僚の言葉を聞き流していた。

ちっとも減らない目の前のランチプレートのパスタをため息吐きながら見つめてぼんやりしてしまう。フォークでつつくだけで食べないのだから減らないのは当然だ。

「法律違反じゃないの!?」

「一応、通告から派遣契約切れるまで一カ月以上あるしね」

「一ヶ月以上あればいいんだ?」

「らしいよ」

「でもさ、私たち派遣が切られるって会社から伝えられるのは普通三ヶ月前じゃない?」

確かに普通はそうだ。二、三ヶ月毎に契約更新が通常のうちの派遣会社では、契約終了の伝達はその前の更新時。「次の更新は出来ないですよ」と伝えられる。その三ヶ月の猶予の間に次の仕事を探したり、派遣会社と相談したりするのだ。

だが今回は事情が違う。

「だから普通じゃないって事でしょ。まぁ普通じゃない理由だからねー」

「そうだね。派遣の仕事を縁故のごり押しで辞めさせられるなんて普通じゃないもんね」

「だよねー」