「いいですよ」

「は?」

「いいです。結婚の提案、お受けします」

「いや、もう少し慎重に考えた方が」

「ふふっ。それを高崎主任が言うんですか?」

「いや、そうだが」

「大丈夫です。ちゃんと考えて決めましたから」

「そうか?」

「はい。正直、経済的不安から解放されるのは嬉しいですし。それに直感ですけど、主任と今お話しして大丈夫だと思いましたから」

「そう……そうか」

「はい。ですから、よろしくお願いします」

「ああ。ありがとう」

驚いて、でもじんわりと喜びを滲ませて、高崎主任は、ほころぶように笑った。