『信じてるの?』

少女の声には聞き覚えがある。今より十年くらい前、思春期の私の声だ。見上げる空に立ち昇っていく煙と合わされば、これがいつもの夢だと気付く。

『信じられない?』

私の質問に質問で返すのは隣で一緒に煙を見上げる少年。いや、青年なのかもしれないが、わたしは煙から視線を外せないから確認は出来ない。

『信じたいけど……』

『じゃあ信じてみなよ。信じて、それで無理だったら、神様じゃなくてぼくが助けてあげるから』

淡々と、でもきっぱりとした物言いは理由もなく信じられた。だから私は、彼に「信じる」って伝えようと思ったんだ。ちゃんと向かい合って、その目を見て……。