@YUMI KO

「それって、貴久に一目ぼれされたってこと?」


あたしの話を聞いていた穂香がそう言った。


「そんなわけないじゃん」


あたしは慌てて否定する。


誰かに一目ぼれをされるような美人じゃないことは、十分に自覚していた。


「だって、最初からそんなに話しかけられたなら、ナナカに惹かれてたってことでしょう?」


「そ、そんなことないってば」


貴久はただ、あまりに緊張していたあたしを見て気にかけてくれただけだ。


今までずっと、そう思っていた。


「いいなぁ。一目ぼれかぁ」


「だから違うってば」


あたしが何を言っても聞いてくれそうにない。


遠い目をして自分と置き換えて妄想しているのがわかった。


穂香はしばらくそうやってうっとりと目を細めていたのだが……。


ゴトリ。


と、音がしてあたしたちは目を見交わせた。