「古くなったスマホは家に置いてあったはずなのに」


それが、なぜだかわからないが今日、学校のゴミ箱から出て来たのだ。


「それは……勘違いなんかじゃないよね?」


「どうやったらそんな勘違いをするの? あたしが家からスマホを持って来て、捨てたって思ってる?」


声を荒げる穂香にあたしは絶句してしまった。


もしもこっそり家庭ゴミを捨てるつもりなら、さっさとコンテナにうつしてしまっていただろう。


それより先に、穂香は1人でゴミ捨てに行ったかもしれない。


それをしなかったということは、家庭ゴミを捨てるつもりではなかったということだ。


穂香は気味悪がりながらも、3台のスマホをスカートのポケットに入れた。


自分の私物を放置して帰るわけにはいかないのだろう。


「あ、そういえば……」


散乱したゴミをゴミ箱へ戻しながら、あたしはふと思い出して呟いた。


「なに?」


「理香先生のスマホも突然出て来たんだった」


「どういうこと?」


穂香に聞かれて、あたしは車の中で見つけたスマホについて説明した。