しかし、その期待はすぐに裏切られることになった。


警察に届け出をしたということで、学校でも全校集会が開かれて理香先生の失踪を知らせたのだ。


警察では事故と自らの失踪の両方を視野に入れて捜索しているらしい。


「なんだか、大事になってきたね……」


体育館から教室までの帰り道で、穂香が暗い表情で言った。


いつもの明るさはどこかに置いてきてしまったみたいだ。


「本当だね。すぐに見つかったらいいけど」


そう答えたものの、どうなるかわからない。


穂香にとっては昔から知っているお姉さんでもあるから、余計に気になるところだろう。


B組の教室へ戻っても、みんな落ち着かない様子だった。


大声で会話をする生徒はいないけれど、みんなさざ波のように声を抑えて理香先生の失踪について話をしている。


穂香はどこか居心地が悪そうに、自分の席についたのだった。