その女は長い髪の毛で顔が隠れている。


あたしは必死に視線を逸らせようとするが、金縛りにあったかのように動く事ができなかった。


「あのね、ユミコさんからの電話があったらね……」


女がしゃがれた魔女のような声で言い、あたしを見上げる。


「い……や!!」


咄嗟に女を突き飛ばしていた。


ゴトンッと鈍い音がして女の体がベッドから落下する。


それと同時に耳をつんざくような泣き声が聞こえてきて、我に返った。


女はいない。


さっき抱きしめていたエマもいない。


ただ、ベッドの下から幼い泣き声が聞こえてくるだけ。


「エマ!?」


ノックもなしにお母さんが部屋に入って来た。


「お母さん……!」


エマがお母さんに抱きつく。


「ちょっとナナカ、なにがあったの?」