「こんにちは。今日理香先生が来なかったから気になって……」


「あぁ……そうなんだ」


理香先生のお父さんはそこまで言って言葉を切り、あたしと貴久へ視線を向けた。


「あたしは、B組の橘です。こっちはクラスメートの里中君です」


あたしはすぐに自己紹介をして頭を下げた。


「2人ともあたしの友達。理香先生がいなくなったって噂を聞いて、心配になって来たの」


穂香が説明してくれた。


「そうか、理香の生徒さんか」


お父さんはそう言うと、快くあたしたちを家にあげてくれた。


理香先生の家も可愛らしい一軒家で、ここで3人で暮らしていたみたいだ。


あたしたちはリビングに通されて、3人で固まるようにして座った。


「心配してくれてありがとうね」


理香先生のお母さんはあたしたちにお茶を用意して、そう言った。


「理香先生がいなくなったって聞いたんですけど、それは本当なんですか?」


お茶をひと口飲んでから貴久が聞いた。


理香先生の両親は互いに目を見合わせて頷いた。


「今日の朝なかなか部屋から出てこないから確認してみたら、どこにもいなかったのよ」


と、疲れた表情でお母さんが答えた。