☆☆☆

夢を見ていた。


それは知らない河原の夢だった。


川は透明度が高くとても穏やかに流れている。


暑い今の季節なら、思わず足を入れてみたくなるような光景だった。


そんな光景に似つかわしくない、崩れかけのアパートが見えた。


壁が一部倒壊していて、近づくのも危なそうだ。


そんなアパートの中に人影が見えた気がして私は眉を寄せた。


気のせいだろうか?


そう思いながらアパートへ近づいて行く。


その時、割られた窓の向こうに白いワンピースを着た女性が見えた。


「あっ」


と、思わず声を上げる。


勘違いじゃなかった!


いつ倒壊するかわからない建物にいるなんて、危ない。


咄嗟にそう考えて前へ足を進めていた。


「ちょっとあなた。危ないわよ?」


そう声をかけた瞬間……。