@YUMI KO

「学校内では遠慮なくズケズケ話かけてくるのに、外では謙虚なのね?」


理香先生はあたしの顔を覗き込むようにしてそう言った。


その言葉のニュアンスには揶揄の色が見え隠れしている。


「別に、そういうんじゃないです」


思わず言い返すと「じゃあ、どうぞ」と、後部座席のドアを開けられてしまった。


エマはよじ登るようにして車の座席へとのぼって行く。


「エマはそこじゃないの」


あたしはエマに続いて車内へ入り、チャイルドシートに乗せてやった。


「よし! じゃあ、出発進行!」


理香先生が運転席に戻ってそう言うと、エマが右手を突き上げて「おー!」と声を上げたのだった。