@YUMI KO

☆☆☆

学校が終わるとあたしは早足で幼稚園へと向かった。


幼稚園に到着すると園の中から子供たちの歌声が聞こえてきて、心なしかホッとした。


その歌が、この前エマが歌っていたものだったからだ。


少なくともみんなと同じように歌を歌い、覚えていたのだ。


あたしは額に滲んだ汗を手の甲で拭い、そっと中の様子を伺った。


何も問題がなければわざわざ先生を呼ぶ必要もない。


帰る時間になってからお迎えに来ればいいだけだ。


そう思っていたのだけれど……。


突然園内から子供の泣き声が聞こえて、あたしはハッと息を飲んだ。


歌声はピタリと止まり先生の焦った声が聞こえて来る。


なにかったんだろうか……。


そう思ってその場で棒立ちになっていたとき、エマが教室から飛び出してくるのが見えた。


「エマ!」


あたしは思わずそう声をかけていた。


しかし、エマには届かない。