その時……。


ピリリリリッピリリリリッ!


風に乗って、どこからか着信音が聞こえて来た気がして立ち止まった。


「どうしたの?」


エマが首をかしげている。


あたしは音が聞こえて来た園庭へと視線を向けた。


砂場で遊んでいる数人の園児たちが見える。


白くサラサラとした砂の中から、微かに聞こえる音……。


あたしはエマの手をきつく握りしめて、視線を逸らした。


そして、大股で歩き出す。


もうあたしたちには関係ないはずだ。


なにもかも、終わったはずだ。


後方から「お砂場から電話がでてきたよ!」そんな、園児の無邪気な声が聞こえて来たのだった……。



END