床下から無事に救出されたあたしは、お母さんの車でそのまま病院に運ばれた。


幸い骨に異常はなかったが、痛々しい青あざだけはクッキリと刻まれることになった。


貴久たち3人は光弘のお父さんが土の中へ引きずり込まれた時、廃墟の外で目が覚めたらしい。


自分たちが由美子さんに連れていかれた後どうなったのかは、全く覚えていなかった。


ただ暗くて、冷たくて、悲しい。


そんな感情がどんどん流れ込んできていたという。


きっとそれが由美子さんの気持ちだったのだろう。


スマホの中に引きずり込まれる時は本当に骨が砕ける痛みと肉が裂かれる痛みを感じたようだが、3人とも無傷のままだった。


その後、由美子さんの骨はちゃんと遺族の元へ返され、供養された。


しかし、光弘のお父さんの体だけはどれだけ探しても出てこなかったようだ。