ゴキッと骨の折れる音が聞こえてきたけれど、由美子さんの腕の力は緩まなかった。


奇妙に曲がったままの腕で、ズルズルと光弘のお父さんを引きずり込もうとしている。


「やめろ! やめろよ!」


光弘は叫びながら何度も何度も腕に向かって瓦礫を振り下ろした。


骨が砕け、肉が裂けて、あたしのいる床下まで血が降り注いでいた。


それでも腕は力強く光弘のお父さんの体を引きずり、ついに床下へと落下してきた。


「あああああ!!」


光弘のお父さんの見開かれた目。


叫ぶ口からまき散らされるだ液。


それらは一瞬にして土の中へと消えて行ったのだった……。