月明かりに照らされて、光弘の頬を伝う涙がキラキラと光っている。


「光弘……?」


「ごめん……!」


光弘がギュッと目をつむったと思った次の瞬間だった。


あたしが光弘の手に突き飛ばされ、床下へと落下していたのだ。


あたしの下になった由美子さんの骨がバキバキと音を立てて破壊される。


お尻を強く打ちつけて痛みに顔をしかめた。


そして見上げてみると……あたしを見下ろす光弘と光弘のお父さんがいた。


「なんでこんなことするの!?」


「俺は……これからまだまだ勉強して、いい大学に入って、お父さんの会社を継がなきゃいけない」


光弘の声は涙でぬれ、そして震えていた。


本当はこんなことしたくないのだと、全身が訴えていた。


「ごめんナナカ!」


光弘の言葉を合図にしたように、瓦礫が落とされた。


「やめて!」


必死で叫び、出口を探す。


川が近いためか床下は高くとってあり、どこからか月明かりも入り込んでくる。