「自分の人生のために由美子さんをここに放置したのか!?」


光弘が震える声で叫んだ。


泣いているのか、時々しゃくり上げる音も聞こえて来る。


「俺の人生が破たんしていたら、お前は生まれていなかったんだぞ!」


父親の叫び声に光弘が苦痛のうめき声を上げた。


とにかく、由美子さんは見つかった。


由美子さんの探していた人も見つかった。


あとは供養してあげるだけだ。


「警察に通報しないと」


あたしはそう呟いてスマホを操作した。


その時だった。


突然隣からスマホを奪われたのだ。


「ちょっと、なにするの!?」


光弘のお父さんだと思った。


でも、あたしのスマホを奪い取ったのは光弘本人だったのだ。