光弘のお父さんからすべてを聞いたあたしは唖然として白骨死体を見つめていた。


由美子さんが探していたのはやはり光弘のお父さんだった。


そして、ここから助けて欲しいと願っていたのだ。


「ご飯も食べられないのに、どうして携帯電話は持っていたんですか?」


ふと気になり、あたしはそう聞いた。


由美子さんの携帯電話が土の中から出て来たと言う事は、当時持っていたということだろう。


「仕事に必要だったからだ」


光弘のお父さんはなんの躊躇もなくそう言った。


「仕事を頑張っていればいつか、好きなだけ好きな物を食べられるようになる」


確かにその通りかもしれない。


そしてその言葉通り、光弘のお父さんは起業して成功した。


今や大きな家の主である。


携帯と共に床下に置き去りにされた由美子さんにとっては、電話で誰かに助けを求めることが最後の手段になったのだろう。


古いスマホばかりに着信があったのは、由美子さんが亡くなった事態に少しでも近い機械だったからなのかもしれない。


とにかく、由美子さんは死んでからもなお、助けを求め続けていたのだ。


「由美子のことは悪かったと思ってる。だけど、あの時はこうするしかなかったんだ。金もない、両親にも頼れない。由美子の親にバレたら、それこそ俺の人生は終わりだった」