自分の夢がこんなところで終わるはずがない。


目の前の光景を、見て見ぬふりをした。


流れ出した血をぬぐい、青白い由美子の顔にファンデーションを塗って、自分の都合のいいように、いつもと変わらぬ日常をでっちあげた。


18歳で飛び出してきた友則には、現実を受け入れる余裕がなかったのだ。


やがて……由美子はそのまま息を引き取った。


普段から十分に食べることもできなかった由美子の体に、流産という大きな試練は耐えられなかったのだ。


ピクリとも動かなくなった由美子を見ても、友則はその場に座り込んだまま動けなかった。


こうして寝かせておけば由美子はまた動き出すんじゃないか?


そんなあり得ない期待を何度も抱いた。


しかし、由美子は動かない。


死んでしまったのだ。


やがて由美子の体にハエがたかりはじめた頃、ようやく友則は立ち上がったのだった……。