あたしはゆっくりと立ち上がり、光弘に近づいた。


そこに何があってもこの目で見ないといけない。


例えそこに……白骨化した死体が隠されえていようとも。


ピリリリリッピリリリリッ!


土の中から着信音が聞こえて来て、あたしと光弘は息を飲んだ。


白骨死体のすぐそばから聞こえて来る着信音に、光弘が屈み込んで手を伸ばした。


音がする辺りを少し探ってみると、土の中に埋もれた二つ折りの携帯電話が出て来た。


元々何色だったのかもわからないくらい、劣化している。


光弘は鳴り続けるそれを手に取り、そして画面を確認した。


【ユミコ】


画面はひび割れて歪み、昔のテレビのようにノイズが乗っていた。


そんな中、携帯電話は鳴り続ける。


ピリリリリッピリリリリッ!


その音は波に乗っているように奇妙にうねり、低くなり高くなり、やがて女の悲鳴に似た音に変化していく。


ぎぎ……ぎっぎぎ……ぎゃああああああああああああああ!!


苦痛に歪むその声を最後にして、着信音はピタリと途絶えたのだった。