夜の河原はどこか寒々しく感じられた。


月の光に照らされた水面は美しく輝いているのに、あたしはそれが真っ赤な血に見えてしまった。


エマが言っていた、川は真っ赤だという言葉が思い出される。


この川も、あの廃墟も、由美子さんに関係しているなにかなんだろうか?


確信がないまま車が停車した。


あたしはお母さんに礼を言って車を降りて、河川敷へと歩いて行った。


チロチロと水の音が聞こえるばかりで人影は見えない。


あたしはスマホのライトで足元を照らしながらゆっくりと周囲を確認した。


とても静かで、生暖かな夜だった。


肌に絡み付いてくる空気は水分を多く含んでいるようで重たく、気持ちが悪かった。


光弘はどこにいるんだろう?


まさか、見当違いな場所にいるんなんてことはないよね?


そう思って電話をかけようとした時だった。