「女の子と遊ぶ暇があれば勉強をしなさい」
光弘のお父さんはあたしの挨拶を無視し、光弘へ向けてそう言った。
「してるよ。ちょっと、辞書が必要だっただけだから」
光弘もぎこちなく返事をして落としてしまった辞書を慌てて本棚へ戻した。
ここは早く出て行ったほうがよさそうだ。
そう思ったのに……。
ピリリリリッピリリリリッ!
と、あの着信音が書斎に響き始めたのだ。
その瞬間あたしの背中はスッと冷たくなっていく。
呼吸をすることも忘れて書斎の中を見回した。
光弘の古いスマホは全部部屋に置いて来たはずだ。
それに、由美子からの着信は毎回夜中だった。
だから、これは違うはずだ……。
そう、思っていたのに……。
青ざめた顔の光弘がポケットからスマホを取り出したのだ。
それは小学校5年生の頃に買ってもらったと言っていた、あのスマホで間違いなかった。
光弘のお父さんはあたしの挨拶を無視し、光弘へ向けてそう言った。
「してるよ。ちょっと、辞書が必要だっただけだから」
光弘もぎこちなく返事をして落としてしまった辞書を慌てて本棚へ戻した。
ここは早く出て行ったほうがよさそうだ。
そう思ったのに……。
ピリリリリッピリリリリッ!
と、あの着信音が書斎に響き始めたのだ。
その瞬間あたしの背中はスッと冷たくなっていく。
呼吸をすることも忘れて書斎の中を見回した。
光弘の古いスマホは全部部屋に置いて来たはずだ。
それに、由美子からの着信は毎回夜中だった。
だから、これは違うはずだ……。
そう、思っていたのに……。
青ざめた顔の光弘がポケットからスマホを取り出したのだ。
それは小学校5年生の頃に買ってもらったと言っていた、あのスマホで間違いなかった。



