@YUMI KO

あたしはエマがお絵かき帳に描いた絵を思い出していた。


白い服の女と、隣に立つ男。


それはこの写真とよく似ていた。


「光弘のお父さんに話を聞く事ができれば、なにかわかるかもしれない!」


こんなに近くに由美子さんと近しい人がいるなんて、思ってもいない収穫だった。


「そうだけど、勝手に嗅ぎまわって大丈夫かどうか……」


光弘がそう言った次の瞬間だった。


閉じていた書斎のドアが突然開いたのだ。


ギィ…ときしむ音を響かせながら開かれたその先には、白髪交じりの男性が立っていた。


「お父さん!」


光弘が声を上げ、持っていた辞書を落としてしまった。


辞書の間から写真がヒラリと舞い落ちていく。


「なんだ光弘、友達か?」


光弘のお父さんは目を丸くしてあたしを見つめている。


「は、はじめまして。クラスメートの橘です」


あたしは驚きと緊張で上ずった声になって挨拶をした。