@YUMI KO

「ちょっと2人とも、そんなにいい男がいるの?」


そんな声に振り向けば、いつの間にか理香先生が立っていた。


両手いっぱいにプリントを持っている。


「理香先生も恋人募集中ですか?」


穂香が冗談半分でそう聞くと、理香先生は大げさにため息を吐いて「そうなのよぉ」と、肯定した。


「え、理香先生恋人いないの?」


あたしは目を丸くして聞き返した。


てっきり恋人くらいいるものだと思っていた。


「悪い?」


ジトッとした視線を向けられて、あたしは慌てて左右に首を振った。


最近じゃ生涯1人でいる人だって珍しくない。


「学生を相手にしてたら、いつの間にか婚期が遠ざかってたのよ」


理香先生は冗談めかしてそう言い、あたしと穂香に半分ずつプリントを押し付けて来た。


「じゃ、授業が始まるまでにそれ配っておいてね」


「あ、ちょっと理香先生!」


呼び止める暇もなく、理香先生は行ってしまったのだった。